臨床講義
自己炎症性疾患
金澤 伸雄
1
Nobuo KANAZAWA
1
1兵庫医科大学,皮膚科学教室,主任教授
キーワード:
遺伝性自己炎症性疾患
,
指定難病
,
インフラマソーム
,
NLRファミリー
,
I型IFN
Keyword:
遺伝性自己炎症性疾患
,
指定難病
,
インフラマソーム
,
NLRファミリー
,
I型IFN
pp.41-52
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000004357
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「自己炎症性疾患(autoinflammatory diseases)」は,自己免疫疾患(autoimmune diseases)が獲得免疫の制御異常によるのに対して,自然免疫や炎症の制御異常を原因とする稀少疾患として1999年に提唱された,まだ新しい疾患概念です1)。家族性地中海熱などの「遺伝性周期熱症候群(hereditary periodic fever syndrome)」をプロトタイプとし,発熱や皮疹,関節炎などの症状を呈し,感染症やアレルギー,膠原病などに似ますが,無菌性でアレルゲンなどの誘因がなく,各種自己抗体は陰性です。その多くは単一遺伝子変異による遺伝性の稀少疾患ですが,多遺伝子性と考えられ非遺伝性の疾患や,モザイク変異による後天性の疾患も見出されています。ただし,肥満における飽和脂肪酸や,環状肉芽腫における変性コラーゲンなど,“self” としての自己成分(内因性リガンド)に対してtoll様受容体などを介して反応する炎症応答は,「自然炎症(homeostatic inflammation)」とよばれ,自己炎症とは区別されます。自己免疫(autoimmunity)の “auto” が “self” を意味するのに対し,自己炎症(autoinflammation)の “auto” はむしろ “automatic(自動)” や “autonomous(自律)” の意味と捉えれば,その違いがわかりやすくなります2)。
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