味覚異常がみられたが，Laugier-Hunziker-Baran症候群と考えた1例

A possible case of Laugier-Hunziker-Baran syndrome with dysgeusia

77歳，女性。初診2カ月前から手指と口腔内に色素斑が出現し，当科を受診した。口唇粘膜，頰粘膜，舌先端，手指および足趾先端に5mm大までの黒褐色斑が多発し，爪甲線条も認めた。拇指からの生検で病理組織学的に表皮基底層にメラニンが増加し，真皮浅層にメラノファージが散見された。血縁者に同症状の者はない。色素斑が出現する数カ月前から味覚異常を認めていたことからCronkhite-Canada症候群を疑ったが，消化器症状や脱毛，体重減少などはなく，上部・下部消化管内視鏡検査でポリポーシスを認めなかった。副腎機能異常もなく，Laugier-Hunziker-Baran症候群と診断した。本疾患の診断においては，多発する色素斑に全身症状を伴う他疾患との鑑別が重要である。