Adenoma of the Nippleの1例

Adenoma of the Nipple

49歳，女性。5年前より左乳頭から漿液性分泌物の排出がみられていた。乳腺外科での定期診察と画像検査上では悪性所見を認めず，経過観察されていた。1カ月前に左乳頭にびらんを生じた。初診時，左乳頭に潰瘍を伴う10mm大の紅色局面を認めた。超音波，マンモグラフィ，MRIで悪性を疑う所見はなかった。病理組織学的に，真皮に腺管構造の密な増生があり，腺管壁は円柱状の上皮細胞と扁平な筋上皮細胞より構成され，adenoma of the nippleと診断した。本症のように乳頭に紅斑や潰瘍，結節を生じた場合，臨床診断は困難であり，皮膚生検を要する。