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乾癬における生活習慣の指導において,患者が疾患に対して抱いている認識に加えて,生活状況,嗜好,職業,人格,感情などの情報を評価することが重要である。また重症の乾癬では,肥満や喫煙が関連して全身性炎症となり,さまざまな合併症が引き起こされる乾癬マーチ(psoriatic march)1)とよばれる病態がおきる(図1)2)。医療者側からは疾患における基本的な知見を患者に説明し,患者希望に応じた治療目標と具体的な治療方法を伝える一方で,重症化予防につながる生活習慣へのアドバイスが重要である。乾癬が日常生活に及ぼす影響についてのアンケートで,① 家事が増えた(36%),② 感染するのかを尋ねられる(24%),③ 公共の場でじろじろみられる(22%),④ プールでじろじろみられたり,居心地が悪いと感じた(17%),⑤ 乾癬が肌だけでなく生活全般に影響することを理解されない(14%),などの回答があり,就労での影響では55%で何らかの影響があると答えている3)。このように乾癬による疾病負担は大きく,長期にわたる。日本の乾癬の罹患者数は人口の約0.3%にあたる43万人にのぼるといわれ,近年,受診患者数は増加の一途をたどっている。男女比では欧米が1:1に対して日本では約2:1であり,発症年代では男性は30歳代,女性では10歳代と50歳代に多い。乾癬の発症は遺伝的素因とともにメタボリック症候群(以下MetS)との関連が指摘されている。内蔵脂肪の蓄積に加えて高血糖,脂質異常,高血圧のうち2つ以上を合併するMetSを念頭に置いた生活習慣の改善への取り組みが必要となる。乾癬治療のパラダイムシフトとよばれる大きな変革の時を迎えているなかでも,生活の変化が乾癬の病勢に大いに影響を与えることを経験する。いくつかの事例から考えていきたい。
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