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2010年が,わが国での乾癬に対する生物学的製剤治療の幕開けの年となった。以後合計7種類の生物学的製剤が乾癬に対して承認されている。ところで,生物学的製剤と一口に言っても,実はそれはかなり幅広い概念である。生物学的製剤とは,化学的に合成された化合物とは異なり,生物が作る物質(主に蛋白質)を医薬品として利用したものである。したがって,見解には多少の幅があるものの,広い意味では,予防接種に用いられるワクチン製剤,インスリンなどのホルモン製剤,血液の凝固因子製剤,免疫グロブリン製剤,インターフェロン製剤,G-CSF製剤,抗体製剤が生物学的製剤の概念に含まれる。しかし,わが国における乾癬治療に限定すると,生物学的製剤は事実上抗体製剤を意味することになる。抗体製剤の大きな特徴のひとつは,化合物として作られた薬剤とは異なり,特定の標的以外には反応しないことであり,そのため標的とした分子のみの働きを抑制することが可能な点である。そして,抗体製剤には通常,ただ1種類の抗体産生細胞(B細胞)から作られた抗体のコピーで同一の分子構造をもつモノクローナル抗体が用いられる。また,抗体製剤は化合物として合成される通常の薬剤と異なり,経口投与ができず(蛋白質であるため消化されてしまう),投与経路が静脈注射または皮下注射になる。抗体製剤の一般名の命名法には一定の規則があり,一般名をみればどのような構造の抗体で,どのような作用を目的としているか大雑把にわかるようになっている(表1)。乾癬,悪性黒色腫,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹を含めた皮膚科領域のみならず,さまざまな領域で抗体医薬品が使用されていることから,この規則は是非とも理解しておきたい。
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