乾癬性関節炎の最近のトピックス

Recent advances in psoriatic arthritis

　乾癬性関節炎は，乾癬に炎症性関節症を伴うもので，近年の有効な治療薬の開発・実際の臨床現場への参入に伴い，基礎研究，臨床研究のどちらも以前とは比較にならないくらい進んでいる．乾癬性関節炎の疫学，早期発見のための検査法，併存症，治療とその影響（QOLの改善など）においては多数の論文が出ている．それに比べて，病態については，乾癬性関節炎の一次的な炎症部位とされる付着部の組織検体を集めることがヒトにおいて容易ではない（有効な生物学的製剤の登場により手術の機会も減っている）ためか，脊椎関節炎の動物モデルでの検討が中心となっている．

　筆者は2017年の本誌に，「乾癬性関節炎研究の変遷」というタイトルで，これまでの研究の流れを紹介した^1）．その後の数年で，ヒト検体を用いた研究でも，新しい知見が次々に発表されて，新たな展開がみられている．本稿では，乾癬性関節炎の最近のトピックスの中からいくつか取り上げ，とくに病態と治療を中心に概説する．

（「はじめに」より）