症例報告
発症初期から網膜下膿瘍形成を経時的に観察し得たmethicillin-susceptible Staphylococcus aureusによる内因性眼内炎の1例
吉田 由季
1
,
牛田 宏昭
2
,
井岡 大河
2
,
岡戸 聡志
3
1小牧市民病院眼科(愛知県)
2名古屋大学医学部附属病院眼科
3独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター眼科(愛知県)
キーワード:
内因性眼内炎
,
メチシリン感受性黄色ブドウ球菌
,
前立腺膿瘍
,
網膜下膿瘍
Keyword:
内因性眼内炎
,
メチシリン感受性黄色ブドウ球菌
,
前立腺膿瘍
,
網膜下膿瘍
pp.375-381
発行日 2026年4月5日
Published Date 2026/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004632
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内因性眼内炎は,受診時に硝子体混濁が強く眼底観察が困難であり,また全身状態により手術が施行できない症例も多い。今回,画像的に経過を追えた黄色ブドウ球菌による内因性眼内炎の1例を経験したので報告する。症例は60歳男性で,排尿時痛の約10日後に左眼の眼痛と視力低下を自覚し近医を受診した。脈絡膜隆起性病変を指摘され,経過観察中に病変の増悪を認め,当院紹介となった。当院初診時,左眼は光覚弁であり,強い前房内の炎症と硝子体混濁があり,眼内炎が疑われたため同日に硝子体手術を施行した。術中,網膜下膿瘍と網膜剥離を認め,シリコーンオイル充填で終了した。硝子体の培養は陰性だったが,血液培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(methicillin-susceptible Staphylococcus aureus)が検出され,全身の造影コンピュータ断層撮影により前立腺膿瘍が判明し,同部を感染源とする内因性眼内炎と診断した。抗菌薬治療後,炎症は沈静化し,網膜の復位は得られたが,最終矯正視力は0.02にとどまった。本症例は,炎症初期に眼底が観察可能で経時的変化を確認できたまれな症例であり,初期炎症が軽度でも重篤化し得る内因性眼内炎の存在に留意すべきであると改めて考えられた。

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