特集 糖尿病網膜症アップデート
序論
後藤 浩
1
1東京医科大学医学部臨床医学系眼科学分野
pp.305-306
発行日 2026年4月5日
Published Date 2026/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004621
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
かつて糖尿病網膜症の診療といえば検眼鏡による観察で網膜症の発症を確認し,必要に応じて蛍光眼底造影検査を行い,網膜光凝固による治療の是非を評価するとともに症例によっては適切にこれを実施し,増殖性変化に至った症例に対しては硝子体手術を施行する,この一連の作業が当たり前のように繰り返されていたように思う。一方,診断における昨今の検査機器の開発と普及,さらには抗VEGF薬による治療法の登場は,糖尿病網膜症の診療スタイルに大きな変革をもたらした。しかし,糖尿病網膜症に対する今日の優れた医療の実践と提供は,19世紀半ばのHelmholtzによる検眼鏡の発明はもとより,1960年代のCoganとKuwabara(桑原)による病理組織学的な研究成果に基づいた病態の解明,そして21世紀を迎える直前に明らかとなったVEGFの関与など,先人による膨大な研究成果に基づいた結果であることを肝に銘じておくべきであろう。糖尿病網膜症の分類と治療の歴史について詳述していただいた坪井先生の解説は,代表的な眼疾患のひとつである本症の歴史を振り返ることで,医学そのものの進歩を実感させてくれる。

Copyright © 2026, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.

