特集 生物製剤によるぶどう膜炎の治療
序論
後藤 浩
1
1東京医科大学医学部眼科学分野
pp.537-538
発行日 2020年6月5日
Published Date 2020/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001691
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生物製剤とは,近年のバイオテクノロジーにより創出された比較的新しい治療薬であり,眼科領域では現在,腫瘍壊死因子(TNF)を標的とする抗体治療薬が使用可能となっている。当初,Crohn病や関節リウマチに対する治療薬として導入されたインフリキシマブ(レミケードⓇ)は1~2時間の点滴静注投与を,原則8週間ごとに繰り返す治療法となる。国内での治験の結果をもとに,2007年からBehçet(ベーチェット)病に伴う難治な網膜ぶどう膜炎に対する治療薬として,世界に先駆けて本邦で承認された。かつては炎症発作を繰り返しながら徐々に失明に至ることも少なくなかったベーチェット病であるが,インフリキシマブが使用可能となって以来,そのようなケースに遭遇する機会は激減し,本症の予後は飛躍的に改善した。
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