特集 抗VEGF治療の進歩:選択と最適化
3 網膜静脈分枝閉塞症治療の実際と難治例へのアプローチ
川上 摂子
1
1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
キーワード:
網膜静脈分枝閉塞症
,
黄斑浮腫
,
抗VEGF療法
,
網膜光凝固
Keyword:
網膜静脈分枝閉塞症
,
黄斑浮腫
,
抗VEGF療法
,
網膜光凝固
pp.21-27
発行日 2025年1月5日
Published Date 2025/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004014
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網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion:BRVO)に伴う黄斑浮腫の治療では,現在抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法が第一選択である。ラニビズマブやアフリベルセプトの大規模臨床試験において,抗VEGF療法開始後に視力の改善と維持が可能であったと報告されている1-3)。本邦では,BRVOの黄斑浮腫に対する治療として,まず抗VEGF薬の硝子体注射を行い,黄斑浮腫がみられた場合注射を追加するpro re nata(PRN)regimenが用いられることが多い4)。しかし,実臨床ではどの症例も同じ経過をたどるわけではない。黄斑浮腫の経過をみていると,主に3つのパターンに分けられる。黄斑浮腫が①比較的短期に消失する症例,②軽度残存するものの安定する症例,③再発を繰り返すか遷延する症例である5)(図1)。③のような難治例に対しては,抗VEGF薬の他剤切り替えのほかに,網膜光凝固の併用や硝子体手術,ステロイドの局所注射が行われる4)。その一方で,BRVOの治療は黄斑浮腫に対する議論だけでは不十分で,虚血に伴う新生血管の発生や硝子体出血などの可能性にも留意する必要がある。
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