トピックス 院内感染の現況とその取り扱い
4.流行性角結膜炎
清水 一弘
1
1大阪医科大学眼科学教室
pp.28-30
発行日 2002年1月20日
Published Date 2002/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902471
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はじめに
流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis:EKC)はウイルスの感染によって急性に発症する疾患である。原因ウイルスであるアデノウイルスは感染性がかなり高く集団感染や地域感染を起こすことがあり,眼科における院内感染の最も重要な感染源である1〜9)。EKCの原因がアデノウイルス8型(Ad8)であることは1955年Jawetzによって発見された。その後Ad8以外に4型,19型,37型など多元的病因によることが明らかになった。
結膜炎はその臨床経過より急性,慢性に分ける方法や,病型からカタル性,濾胞性,偽膜性などに分ける方法がある。原因別には細菌性,ウイルス性,アレルギー性などに分けられる。
EKCに感染すると非常に伝染しやすく,それゆえ俗に“はやり目”といわれている。患者数も多く眼科領域において病院内では最も注意を要する感染症である。眼部でのアデノウイルスの標的組織は結膜と角膜であり,その他の涙道や強膜やぶどう膜などの組織に障害を生じない。
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