特集 アトピー性皮膚炎患者に対する眼科手術
1 アトピー性皮膚炎における眼合併症の頻度の変化
山本 香織
1
1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
アトピー性角結膜炎
,
アトピー白内障
,
網膜剥離
,
タクロリムス
,
叩打癖
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
アトピー性角結膜炎
,
アトピー白内障
,
網膜剥離
,
タクロリムス
,
叩打癖
pp.815-819
発行日 2022年9月5日
Published Date 2022/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002772
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アトピー性皮膚炎は,増悪・寛解を繰り返す,瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くはアトピー性素因をもつと定義されている1)2)。アトピー性皮膚炎の眼合併症(アトピー眼症)は多岐にわたる。眼瞼炎,角結膜炎,円錐角膜,白内障,水晶体偏位,眼内レンズ偏位,網膜周辺の変性,網膜裂孔,網膜剥離などがある3)。前眼部の炎症は,自覚症状として,瘙痒,疼痛,異物感を生じ,掻破・擦過のきっかけになり得る。白内障,眼内レンズ偏位,網膜剥離などは,急激な視力低下につながり,早急な手術を必要とすることもある。ステロイド治療に伴う,ステロイド緑内障,ステロイド白内障,易感染性も留意を要する。また,術後感染をきたすことも少なくない。皮膚治療を中断している症例も散見され,皮膚科との連携も重要である。これらアトピー性皮膚炎の眼合併症の治療はときに難しく,私たち眼科医を悩ませてきたといっても過言ではない。
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