症例報告
強膜内陥術後における膨化マイラゲルを圧出により摘出できた1例
平井 研登
1
,
片岡 卓也
1
,
藤田 京子
1
1愛知医科大学眼科学講座
キーワード:
MIRAgelⓇ
,
晩期合併症
,
断片化
,
線維性被膜トンネル
,
圧出
Keyword:
MIRAgelⓇ
,
晩期合併症
,
断片化
,
線維性被膜トンネル
,
圧出
pp.581-586
発行日 2022年6月5日
Published Date 2022/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002663
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ハイドロゲル素材のバックル材料であるMIRAgelⓇ(以下マイラゲル)は,長期間経過すると変性や膨張を生じさまざまな合併症を引き起こすことが知られている。今回われわれは,晩期合併症により術後17年間経過し,膨化したマイラゲルを,綿棒による圧出で残存断片なく摘出できた症例を経験したので報告する。患者は35歳,女性。左眼網膜剥離に対して強膜内陥術が行われた。術13年後,左眼に違和感を自覚し,その後,眼痛,眼瞼下垂,複視が徐々に出現した。MRI(T2強調画像)で左眼上方180°の範囲に高信号領域が描出され,膨化したマイラゲルと特定した。手術はマイラゲルの周囲に形成された線維性被膜をトンネルとして利用し,線維性被膜と強膜との癒着を丁寧に確認しながら綿棒を用いて注意深く圧出し摘出した。術後,自覚症状は著明に改善し,MRIで完全除去が確認できた。本法により,膨化マイラゲルの周囲に形成された線維性被膜を取り除くことなく,被膜をトンネルとして利用し,マイラゲルのみを圧出によって摘出できた。
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