特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅴ.全身疾患・その他 5.Visual snow症候群
三村 治
1
1兵庫医科大学眼科学教室
pp.1477-1482
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002437
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Visual snow症候群は,患者の自覚症状が疾患名となった非常に新しい疾患単位である。Visual snowは視野全体に無数のモノクロのドットが砂嵐のようにちらつく現象で,視野全体がテレビのホワイトノイズを通して見ている感じがするため,TV staticとも呼ばれている。このvisual snowは1995年Liuらによって片頭痛患者にみられる永続する視覚陽性症状として発表された1)が,その後2014年までの症例報告は10例に満たなかった2)。しかし,Schankinらが「‘visual snow’ syndrome」として診断基準を2014年Brain誌上で提案3)して以来,世界的にかつ爆発的に症例や研究成果が報告されている。今やvisual snowは心因性のものではなく真実の生理学的異常と認識されている。また,患者の苦痛の割に医師の理解や認知が進んでいないことから,英国のThe Visual Snow Foundationや米国のThe Visual Snow Initiativeなどの非営利団体が積極的にこの疾患の認知に向けた活動を行っている。日本でもWEB上では,自己診断が正しいかどうかは不明ではあるが,この疾患ではないかと悩んでいる多くの人の声が溢れている。今後この疾患を疑って眼科医を受診する患者の増加が予想されることから,本稿においてはvisual snow症候群の診断基準,実際の臨床症状,現時点での病因研究,薬物治療効果,非薬物治療(対処法)を紹介する。
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