JIM臨床画像コレクション
"Snow Storm"typeの肺陰影―甲状腺癌からの肺転移
山下 和彦
1
1三条山下内科医院
pp.901
発行日 1997年11月15日
Published Date 1997/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902283
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インフルエンザ発症時にとった胸部X線写真にて多発性びまん性結節性陰影を認め,解熱後も陰影は改善しないため,転移性肺腫瘍の疑いで原発巣の検索に努めたが,容易に発見できなかった.X線写真を見た放射線診断部の医師より,陰影の分布が肺尖よりも中下肺野に多く,"snow storm"type(あたかも吹雪を見るような感じ)の陰影で,甲状腺癌からの肺転移でこのような吹雪状の陰影がみられるというアドバイスを受けた.触診では甲状腺腫は触知できなかったが,頸部の超音波にて甲状腺左葉上部に円形腫瘤があり,capsuleを持ち,内部不均一で,小さな石灰化を多数含むmassを認めた.甲状腺生検にて,クロマチンが軽度増量し,核の大小不同を示す細胞が大小の集団で見られ,核のしわ,核内封入体も認められた.
以上より病理医は甲状腺癌(乳頭状腺癌)と診断した.T1201甲状腺シンチグラムにて,甲状腺左葉と両肺にびまん性の取り込みを認め,この時点で甲状腺癌肺転移の診断が確定した.
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