特集 霰粒腫とMGD
序論
有田 玲子
1
,
坪田 一男
2
1伊藤医院(さいたま市)/LIME研究会
2慶應義塾大学医学部眼科学教室
pp.925-926
発行日 2021年10月5日
Published Date 2021/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002291
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マイボーム腺機能不全(以下,MGD)はいまやocular surface領域の最大のunmet needsとして,国際的に注目されている疾患である。MGDがマイボーム腺のびまん性の疾患であるならば,霰粒腫はマイボーム腺の局所的な疾患の代表例である。MGDも霰粒腫も一般眼科外来で眼科医が遭遇する頻度がかなり高い疾患であり,いずれも古くから存在している。MGDは慢性疾患であり,霰粒腫は自然治癒する場合も多く,そして何より失明しないことから,眼科医にとって疾患の重要度としては高いものにはなりにくかった。しかし,最近の眼科手術後の患者不満足の主因としてドライアイやMGDが注目されるようになり,American Academy of Ophthalmology(AAO)やAmerican Society of Cataract and Refractive Surgery(ASCRS)から白内障手術や屈折矯正手術の術前に眼表面疾患(ocular surface disorder)の診断と治療をしっかりしようというアルゴリズムが提唱された(2019)。眼表面疾患とはつまり,ドライアイ,なかでも特にMGDである。このように,眼科サージャンからの注目度が高まったことによりあらためて“マイボーム腺”の重要性が浮き彫りになってきた。
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