特集 生理機能検査を使いこなす─最近の考え方─
6 VEP
増田 洋一郎
1
1東京慈恵会医科大学眼科学講座
キーワード:
視覚誘発電位
,
VEP
,
視機能
,
視覚野
,
電気生理
Keyword:
視覚誘発電位
,
VEP
,
視機能
,
視覚野
,
電気生理
pp.859-865
発行日 2021年9月5日
Published Date 2021/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002257
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視覚誘発電位(visual evoked potential:VEP)は,網膜から入力されたシンプルな視覚刺激が誘発する網膜および脳電位変化を計測する検査である。網膜の反応は網膜電図(electroretinogram:ERG)として,大脳視覚野の皮質ニューロンの反応は視覚大脳誘発電位〔visually evoked cortical potential:VE(C)P;本稿ではVEPと記載〕として分類されるが,本稿では後者に関し述べていく。現在のVEP計測法は1950年前後にDawsonやBarlowらにより開発され,その後さまざまな試行錯誤により発展してきた1)。VEPに用いられる視覚刺激はシンプルであり,繰り返し計測し平均加算処理することによりノイズを減少させた電位変化波形を得ることができる。安静状態で視覚刺激を固視できる協力的な被検者であれば,客観的な視機能評価の一助となり得る。VEPは,網膜から大脳視覚野に至る視路に障害があると異常を示し,波形の潜時と振幅を評価することが可能であり,時間分解能に優れる点が利点であるが,具体的にどこの大脳皮質が活動しているかに関する空間分解能には劣る。そのためVEPは,網膜から脳視覚野までの視覚伝達の状態把握の一助となるが,障害部位の確定診断とはならない。そのため眼科の実臨床で施行される機会はそれほど多くはないのが現状であるが,本稿では使いこなすためのポイントに関し述べていきたい。
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