私の経験
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種の翌日に眼球運動障害を生じた2症例
鈴木 映美
1,2
,
住岡 孝吉
3
,
雑賀 司珠也
3
1和歌山県立医科大学附属病院紀北分院眼科
2公立那賀病院眼科(紀の川市)
3和歌山県立医科大学眼科学教室
キーワード:
新型コロナウイルス感染症
,
ワクチン
,
眼球運動障害
,
COVID-19
,
vaccine
,
eye movement disorder
Keyword:
新型コロナウイルス感染症
,
ワクチン
,
眼球運動障害
,
COVID-19
,
vaccine
,
eye movement disorder
pp.789-793
発行日 2021年8月5日
Published Date 2021/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002223
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの接種の翌日に眼球運動障害を生じた2症例を経験したので報告する。
症例1は高血圧と糖尿病の既往のある79歳男性。COVID-19に対する1回目のワクチン接種の翌日から正中視および左方視での両眼性複視を自覚したため受診した。
症例2は気管支喘息の既往のある65歳男性。COVID-19に対する2回目のワクチン接種翌日から右方視と右下方視で増悪する両眼性複視を自覚したため受診した。
両症例とも単純MRIによる画像検索において頭蓋内に複視をきたすような異常所見なく,症例1は外転神経麻痺,症例2は滑車神経麻痺と診断した。両症例とも微小循環障害による脳神経麻痺の可能性を考えメコバラミン内服により経過観察とした。症例1は発症から症状改善なく遮閉眼鏡装用で対応とした。症例2は発症から3か月後に複視が改善した。
COVID-19ワクチン接種と眼球運動障害の間に因果関係があるとする報告はなく,偶発的に微小循環障害による眼球運動障害をきたした可能性はある。しかし,2症例とも接種翌日の急性発症であり,インフルエンザワクチンなど他のワクチン接種患者で眼球運動障害をきたす症例が報告されていることから,COVID-19ワクチン接種と眼球運動障害の因果関係は不明であるが眼科医として注意しておく必要はあり,今後の検討がまたれる。
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