私の経験
15年間経過観察できた眼虚血症候群の1例
西川 憲清
1
,
北出 和史
2
,
宮谷 真子
2
,
多田 玲
1
1多田眼科(池田市)
2大阪警察病院臨床検査科(大阪市)
キーワード:
内頸動脈閉塞
,
眼虚血症候群
,
頸動脈エコー
,
網膜中心動脈圧
,
正常眼圧緑内障
Keyword:
内頸動脈閉塞
,
眼虚血症候群
,
頸動脈エコー
,
網膜中心動脈圧
,
正常眼圧緑内障
pp.677-685
発行日 2021年7月5日
Published Date 2021/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002191
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15年間観察できた眼虚血症候群の眼病変の経過について検討した。
症例は56歳男性。199X年7月に眼科を初診し,単純糖尿病網膜症と診断された。1年後右眼耳側周辺部に出血斑の増加がみられたため,眼動脈ドプラ血流検査および頸動脈エコー検査を施行し,右内頸動脈閉塞症と診断した。経過観察中の右眼圧は10~15mmHg,右網膜中心動脈の収縮期圧は41~43mmHgで,蛍光眼底造影検査で当初より後極部の網膜血管壁からの蛍光色素透過性亢進像はなく,約15年後に周辺部の毛細血管瘤の数は減少し,経過中に血管新生緑内障は出現しなかった。視野検査により右眼の鼻下側に閾値低下を認めたが,経過観察中にOCT(optical coherence tomography)がなく,乳頭周囲の網膜厚を測定できなかった。
後極部網膜血管壁からの蛍光色素透過性亢進像がなければ,血管新生緑内障は発症しにくく,むしろ低灌流に環境が適応して,網膜周辺部の毛細血管瘤が減少した可能性が考えられた。眼循環障害が約15年間持続したが,乳頭所見の変化は明白でなかった。
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