私の経験
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)禍で経験した重症角膜膿瘍の1例
犬塚 将之
1
,
安藤 智子
1
,
望月 清文
1
1岐阜大学医学部附属病院眼科
キーワード:
角膜膿瘍
,
新型コロナウイルス感染症
,
Corynebacterium spp.
,
corneal abscess
,
COVID-19
Keyword:
角膜膿瘍
,
新型コロナウイルス感染症
,
Corynebacterium spp.
,
corneal abscess
,
COVID-19
pp.687-692
発行日 2021年7月5日
Published Date 2021/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002192
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の院内感染発生が疑われた際の入院患者への対応は現在の課題である。今回,COVID-19禍でCorynebacterium属による重症角膜膿瘍の1例を経験したので報告する。
症例は無治療の糖尿病を有する71歳男性。3日前より左眼視力低下を自覚し,近医を受診し左眼の角膜潰瘍を指摘され,同日当科を紹介受診した。初診時左眼矯正視力は光覚弁で,眼圧は測定不能であった。左眼では眼瞼は腫脹し,球結膜は著明に充血,角膜は全体に白濁し多量の滲出物がみられ前房内の詳細は不明であった。角膜膿瘍の診断で即日入院とし,オフロキサシン眼軟膏頻回点入,メロペネム全身投与を開始した。一方高血糖(HbA1c 15.5%)を認め当院糖尿病内科の介入下で治療を継続した。入院後7日目に角膜擦過物よりCorynebacterium spp.が検出され,薬剤感受性を考慮し,セフトリアキソンの全身投与に変更した。その後,前眼部所見は徐々に改善傾向にあったが,入院後26日目に当院医師のCOVID-19罹患が判明し外来業務の閉鎖・入院自粛が発令され,本症例は居住地が遠方で通院困難であったため退院不可であった。直ちに個室管理とし,感染対策を徹底しながら治療を継続した。2週間後に本院の外来診療は再開され,入院後60日目にHbA1cおよび前眼部所見の改善がみられたため退院となった。最終矯正視力は0.2であった。
COVID-19院内感染(疑い)下でやむなく入院治療を継続する際には,徹底した感染管理を要する。
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