特集 複視
3 複視の光学的治療
石塚 匡彦
1
,
鈴木 利根
1,2
1獨協医科大学埼玉医療センター眼科
2医療法人ひかり眼科(吉川市)
キーワード:
複視
,
麻痺性斜視
,
光学的治療
,
遮閉膜
,
部分遮閉
,
プリズム
Keyword:
複視
,
麻痺性斜視
,
光学的治療
,
遮閉膜
,
部分遮閉
,
プリズム
pp.123-128
発行日 2021年2月5日
Published Date 2021/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002024
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
日常診療で複視を訴える患者を診る機会は多い。複視を生じた患者は日常生活に支障をきたし,かなりの不自由を訴える。複視を訴える患者に対しては,原因疾患をしっかり診断して原疾患の治療を優先し,その後に複視の観血的治療,薬物療法,光学的治療等を行う1)。患者のなかには可能ならば手術ではなく眼鏡を希望されることもあり,光学的治療は重要な役目を担っている。患者が「ものが二重に見える」と訴える場合,単眼複視の可能性がある。単眼複視は,白内障,屈折異常,網膜疾患などで生じ,屈折矯正や各疾患の治療により改善を目指す。まずは屈折矯正により症状が消失するか確認し,他の眼疾患を鑑別することが重要である。両眼複視の場合は,共同性斜視および麻痺性斜視が考えられる。麻痺性斜視の患者では,治療により正面での複視は改善しても,視方向によって複視が残存する難治性複視を訴えることが多い。筆者らはこのような難治性の複視を訴える患者に対して,従来のプリズム療法に加え眼鏡の一部を遮閉する部分遮閉法を併用した光学的治療を行ってきた。本方法により原因疾患の種類や斜視角の大小にかかわらず,これまで良好な結果が得られている2)~4)。難治性の複視の患者で片眼を閉じていたり,代償性頭位をとったり,あるいは完全遮閉している患者は多く見かけられる。プリズム眼鏡に加えて部分遮閉を行うことによって,より多くの患者で日常生活のストレスを軽減できる可能性を示したい。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.