特集 日常診療における角膜内皮
3 後部多形性角膜内皮ジストロフィ
白石 敦
1
1愛媛大学医学部眼科学教室
キーワード:
常染色体優性遺伝
,
両眼性
,
無症状
,
嚢胞様病変
,
帯状病変
,
びまん性混濁
,
上皮細胞様の内皮細胞増殖
Keyword:
常染色体優性遺伝
,
両眼性
,
無症状
,
嚢胞様病変
,
帯状病変
,
びまん性混濁
,
上皮細胞様の内皮細胞増殖
pp.1413-1418
発行日 2020年12月5日
Published Date 2020/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001954
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
後部多形性角膜内皮ジストロフィ(PPMD/PPCD)は1916年にKoeppeにより報告された疾患であり,通常は常染色体優性遺伝の形式をとる1)。通常両眼性で,小水疱性病変から,虹彩前癒着,瞳孔偏位,2次性緑内障や浮腫を伴った広範な角膜混濁まで多様な病変を呈する。病変の進行は緩徐であり,ほとんどの症例は無症状であるため,別の疾患で眼科を受診した際に発見されることが多い2)。帯状病変と嚢胞様病変は,後述するposterior corneal vesicleとの鑑別が容易ではなく,両疾患の明確な鑑別は多くの成書でもなされていないのが現状である。近年,各病変に対する遺伝子検索の進歩に伴い,角膜ジストロフィの分類が整理され,常染色体優性遺伝のCHED1と常染色体劣性遺伝のCHED2の2つのタイプに分類されていた先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィ(CHED)のうち,CHED1は現在ではPPMDに分類されることになっている3)。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.