症例報告
血液透析後に眼圧上昇をきたした落屑緑内障の1例
金澤 実李
1
,
鈴木 菜津望
1
,
川崎 いづみ
1
1医療法人沖縄徳洲会 四街道徳洲会病院(四街道市)
キーワード:
血液透析
,
一過性眼圧上昇
,
落屑緑内障
,
エクスプレスⓇインプラント手術
,
hemodialysis
,
transient elevation of intraocular pressure
,
exfoliation glaucoma
,
ExpressⓇimplant surgery
Keyword:
血液透析
,
一過性眼圧上昇
,
落屑緑内障
,
エクスプレスⓇインプラント手術
,
hemodialysis
,
transient elevation of intraocular pressure
,
exfoliation glaucoma
,
ExpressⓇimplant surgery
pp.907-911
発行日 2020年9月5日
Published Date 2020/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001802
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症例は85歳,男性。当院での血液透析導入に伴い,眼科も転院を希望され2018年1月に紹介受診。前医では緑内障と白内障の診断のもと2008年より点眼治療を受けていたが,2013年の白内障手術後より眼圧コントロールが良好となったため,当科初診時では緑内障点眼薬は使用されていなかった。当科初診時眼圧は,右眼24mmHg,左眼16mmHg。両眼眼内レンズ挿入眼で瞳孔縁に落屑物質を認めた。眼底所見では,左眼に緑内障性視神経障害を認め,中心窩下方に網膜動脈分枝閉塞症による網膜の白濁を認めた。複数回の眼圧測定で両眼圧>20mmHgであったため点眼治療を開始したが,眼圧コントロールは不良が続いた。2019年6月頃より透析後の眼圧測定で両眼圧が>30mmHgであることが複数回確認され,Goldmann視野検査において,4か月間で左眼視野障害の著明な進行を認めた。このため,左眼は2019年7月,右眼は2020年2月にエクスプレスⓇインプラント手術を施行した。術後からは両眼眼圧は6mmHg程度となり,血液透析後の一過性眼圧上昇は消失した。
血液透析を行っている落屑緑内障患者では,外来時の眼圧が良好であっても,透析直後の一過性眼圧上昇の可能性を念頭に置き注意深く経過観察するとともに,必要があれば透析直後の眼圧測定も行うべきものと考える。
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