特集 Imagingの進歩と神経眼科疾患
3 LSFGによる視神経疾患の診断
前久保 知行
1
1眼科三宅病院(名古屋市)
キーワード:
レーザースペックルフローグラフィ
,
虚血性視神経症
,
視神経炎
,
遺伝性視神経症
,
視神経萎縮
Keyword:
レーザースペックルフローグラフィ
,
虚血性視神経症
,
視神経炎
,
遺伝性視神経症
,
視神経萎縮
pp.749-756
発行日 2020年8月5日
Published Date 2020/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001764
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レーザーを生体組織に照射すると反射散乱光が干渉しあい,ランダムな斑点模様を形成する。これをスペックルパターンと呼び,赤血球などの散乱粒子が移動することで時間とともに変化するスペックルパターンを解析することで血流動態の評価に応用されるようになった。レーザースペックルフローグラフィシステム(Laser Speckle FlowGraphy system:LSFG)1)~3)の測定機器であるLSFG-NAVITMは本邦で開発され2008年に網脈絡膜循環における評価機器として承認を受けた。測定方法や解析方法も進歩し,血流速度や血流量の評価だけではなく血流波形から血管状態を評価することも可能となってきている。Mean blur rate(MBR)をひとつのパラメータとし,測定範囲から関心領域を選択して,その領域の血管MBR値(MV),組織MBR値(MT),全体MBR値(MA)を算出することができる。MBRは血流速度を反映するが,その値は血流量に相関する4)5)。近年の報告から視神経乳頭など一部の組織においてはMBRを絶対値として個体間比較も可能と考えられている6)。LSFGの測定波長が830nmであることから視神経乳頭では篩状板部前後の血流が反映されている可能性が高い。同部位の血流を高い再現性をもって量的に評価できることは視神経疾患を診断するうえで長所ではないかと考えられる。今までLSFGを用いた視神経乳頭,乳頭周囲血流評価は緑内障領域での報告7)~11)が多く,他の視神経疾患に対しての報告はいまだ少ない12)~16)。今回自験例を含め視神経疾患の診断への有用性をLSFGの長短所を踏まえて検討する。
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