症例報告
両側視神経萎縮から神経梅毒の診断に至った1例
清水 洋明
1
,
花﨑 浩継
1
,
加島 陽二
1
,
秋本 高義
2
,
原 誠
2
,
中嶋 秀人
2
1日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
2日本大学医学部内科学系神経内科学分野
キーワード:
両側視神経萎縮
,
神経梅毒
,
梅毒血清反応
,
脊髄癆
,
視機能障害
,
髄液検査
Keyword:
両側視神経萎縮
,
神経梅毒
,
梅毒血清反応
,
脊髄癆
,
視機能障害
,
髄液検査
pp.611-616
発行日 2020年6月5日
Published Date 2020/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001702
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両側視神経萎縮で発見された神経梅毒の1例を報告する。
症例は40歳男性,数年前から徐々に進行する視力低下を自覚していたが,2週間前から急激に視力低下が進行し,当院眼科を受診した。初診時,視力右(0.01), 左(0.3p),両眼に視神経萎縮がみられ,視野は右眼では耳側のみに残存し,左眼では中心暗点と上方視野欠損がみられた。血液検査でserologic test for syphilis(STS)および,Treponema pallidum latex agglutination(TPLA)が陽性で,即日,神経内科において髄液検査を施行した。髄液中STSおよびTPLAが陽性であったため,神経梅毒と診断され,当院神経内科に入院となった。入院後,ペニシリンGカリウム2,400万単位/日の点滴治療を2週間行った。経過中,脊髄癆を認めたが,Argyll-Robertson瞳孔および心血管合併症等は認めなかった。視野は右眼で周辺視野の拡大,左眼では暗点の縮小がみられたが,右(0.05p),左(0.3)と視力の改善は乏しかった。国内の梅毒患者数の増加傾向は続いており,視神経萎縮を呈する神経梅毒ではペニシリン大量療法を施行しても視機能障害は進行することがあるため,可及的早期の治療が求められる。視神経萎縮の鑑別として神経梅毒を考慮し,初診時に梅毒血清反応を行うことが重要である。
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