症例報告
タキサン系抗癌剤投与中に両眼性の嚢胞様黄斑浮腫を発症した2例
齋藤 知子
1
,
伊藤 亜里沙
2
,
井上 麻衣子
2
,
益原 奈美
1
,
門之園 一明
2
1茅ケ崎市立病院眼科(茅ヶ崎市)
2横浜市立大学附属市民総合医療センター 視覚再生外科学教室
キーワード:
タキサン系抗癌剤
,
アルブミン懸濁型パクリタキセル
,
ドセタキセル
,
嚢胞様黄斑浮腫
,
眼合併症
,
蛍光眼底造影検査
Keyword:
タキサン系抗癌剤
,
アルブミン懸濁型パクリタキセル
,
ドセタキセル
,
嚢胞様黄斑浮腫
,
眼合併症
,
蛍光眼底造影検査
pp.599-609
発行日 2020年6月5日
Published Date 2020/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001701
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タキサン系抗癌剤投与中に,両眼に嚢胞様黄斑浮腫を生じた2例を経験したので報告する。
【症例1】57歳女性。乳癌に対しドセタキセルによる治療を開始された。治療開始から2か月で両眼の視力低下を自覚した。矯正視力は右0.2,左0.2であり,光干渉断層計検査で両眼に嚢胞様黄斑浮腫がみられた。ドセタキセルの投与を中止し,3か月で矯正視力は右0.5,左0.4に改善し,両眼の嚢胞様黄斑浮腫は消失した。
【症例2】54歳男性。膵癌に対しアルブミン懸濁型パクリタキセルによる治療を開始された。治療開始から8か月で両眼の視力低下を自覚した。矯正視力は両眼とも0.3であり,光干渉断層計検査で両眼に嚢胞様黄斑浮腫を認めた。アルブミン懸濁型パクリタキセルの投与を中止し,4か月後には矯正視力は右1.0,左0.7に改善し,両眼の嚢胞様黄斑浮腫は改善した。
タキサン系抗癌剤の投与中に両眼性の嚢胞様黄斑浮腫をきたし,薬剤の中止によって嚢胞様黄斑浮腫が改善した2例を経験した。
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