特集 第1部 最近の眼科薬物治療 Ⅰ.結膜,角膜,涙道
6 真菌性角膜炎
江口 洋
1
1近畿大学医学部眼科学教室
キーワード:
アゾール
,
ポリエン
,
キャンディン
Keyword:
アゾール
,
ポリエン
,
キャンディン
pp.1023-1027
発行日 2019年9月30日
Published Date 2019/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001357
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真菌性角膜炎は,細菌性角膜炎よりも予後が悪い1)。その理由として,角膜への抗真菌薬の透過性の低さ2)や抗真菌薬の副作用の強さゆえ,角膜内へ十分量の抗真菌薬を浸透させられないことや,長期使用が難しいことが挙げられる。真菌の形態で分類すると,糸状菌によるものは酵母によるものよりも重篤化する3)ため,それらの鑑別は臨床的に重要である。患者の現病歴,既往歴,および生活歴から,ヒト組織由来の酵母によるものか,環境由来の糸状菌によるものかはおおむね推察できるが,角膜擦過物の塗抹検鏡像だけで酵母か糸状菌かを確実に鑑別することは容易ではない。よって,真菌性角膜炎と臨床診断を下してから,角膜擦過物の培養結果が出るまでの間に実施する初期治療は,念のため糸状菌感染のつもりで開始するのが安全といえる。
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