特集 第1部 最近の眼科薬物治療 Ⅱ.水晶体(白内障)
1 白内障の薬物治療
久保 江理
1
1金沢医科大学眼科学講座
キーワード:
白内障
,
薬物治療
,
クリスタリン
,
酸化ストレス
Keyword:
白内障
,
薬物治療
,
クリスタリン
,
酸化ストレス
pp.1029-1032
発行日 2019年9月30日
Published Date 2019/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001358
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白内障は,世界全体における中途失明原因の第1位となっており,2010年の中途失明者の51%に当たるといわれている1)2)。白内障は,加齢,紫外線,喫煙,糖尿病,ステロイドなど酸化ストレスや糖化ストレスの亢進が主な原因といわれている。蛋白のターンオーバーがほとんどない水晶体は,紫外線や酸化,糖化の影響を受けやすく,蛋白の変性・凝集が蓄積し水晶体混濁を生じる。白内障治療や予防が難しい原因は,加齢白内障には,遺伝的背景や老化による体内の抗酸化能低下,紫外線などの外因性ストレス,生体内酸化ストレス,糖化ストレスの上昇など多因子が関連しているからにある。ここでは,白内障治療の理解に必要な,水晶体のクリスタリン蛋白の変化と機能,現時点において使用可能な白内障薬物治療の解説,および未来の白内障治療薬の動向について概説する。
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