綜説
環境湿度コントロールによるドライアイ治療
尾野村 周平
1
,
明田 直彦
1
,
川島 素子
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
キーワード:
ドライアイ
,
湿度
Keyword:
ドライアイ
,
湿度
pp.851-854
発行日 2019年8月5日
Published Date 2019/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001280
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ドライアイは,眼表面の涙液の水濡れ性が低下したり,涙液が過剰に蒸発したり,あるいは,涙液の分泌が低下することによって,涙液層の安定性が保たれなくなる疾患である1)。ドライアイは,眼の乾燥感や異物感,疲労感や見えづらさといった不快な症状を引き起こすだけでなく,幸福感2)や労働生産性3),睡眠の質4)にまで悪影響を与えてしまうことが報告されている。ドライアイはごくありふれた疾患であり,日本での患者数は2,000万人以上と推定されており,特に日常的にスマートフォンやコンピュータを使っている,いわゆるvisual display terminal(VDT)作業を行っているオフィスワーカーの3分の2がドライアイに罹患しているとの研究結果もある5)。また,加齢がドライアイのリスクファクターのひとつであるため6),高齢化の進む日本において,ドライアイ症状を訴える患者は今後増加していくと考えられる。以上より,ドライアイの治療は今後ますます重要になってくるはずである。
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