特集 わかりやすい TRPイオンチャネルと眼疾患─2021年ノーベル生理学・医学賞関連企画─
4 ドライアイ
黒瀬 雅之
1
,
成田 欣弥
1
,
小瀬川 遼
2
,
千葉 俊美
3
1岩手医科大学生理学講座 病態生理学分野
2岩手医科大学口腔保健育成学講座 小児歯科学・障害者歯科学分野
3岩手医科大学口腔医学講座 関連医学分野
キーワード:
TRPM8
,
ドライアイ
,
TRPV1
,
冷受容器
,
三叉神経脊髄路核
,
モデル動物
Keyword:
TRPM8
,
ドライアイ
,
TRPV1
,
冷受容器
,
三叉神経脊髄路核
,
モデル動物
pp.331-336
発行日 2022年4月5日
Published Date 2022/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002575
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眼科を受診する患者の多くは,眼への外傷や炎症などに起因する結膜の充血を伴う急性症状を呈している場合と,慢性的な角膜や結膜への刺激による同部位の障害を呈している場合がある。このなかで,結膜の充血を伴うことはないが,慢性的な眼の不快感を引き起こす主要な原因がドライアイである。通信情報機器の爆発的な普及によるVDT(visual display terminals)作業時間の増加により,瞬目の回数が低下し,慢性的な涙量の減少によって眼表面の恒常性を維持できなくなった状態がドライアイであるとされる。潜在患者数は全国で800万人から最大2,200万人とされ,VDT作業がますます増加する労働・生活環境の変化や高齢化と関連し,患者数は増加の一途をたどると予想されている1)~3)。よって,環境要因に大きく依存するドライアイの予防は容易ではなく,診断と治療の重要性は高まっている。
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