臨床報告
上眼瞼マイボーム腺角質嚢胞切除により角膜不正乱視の改善を認めた1例
髙木 由貴
1
,
坂井 摩耶
1
,
中尾 功
1
,
江内田 寛
1
1佐賀大学医学部眼科学講座
キーワード:
類皮嚢腫
,
マイボーム腺角質嚢胞
,
角膜不正乱視
,
dermoid cyst
,
intratarsal keratinous cyst
,
corneal irregular astigmatism
Keyword:
類皮嚢腫
,
マイボーム腺角質嚢胞
,
角膜不正乱視
,
dermoid cyst
,
intratarsal keratinous cyst
,
corneal irregular astigmatism
pp.771-775
発行日 2019年7月5日
Published Date 2019/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001244
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要 約
目的
上眼瞼マイボーム腺角質嚢胞により不正乱視を生じ,腫瘤摘出により不正乱視および視力の改善を認めた1例を経験したので報告する。
症例
77歳男性。初診時軽度の白内障を認め,左眼視力低下により白内障手術を予定した。しかし,術前精査で上眼瞼に動性のない辺縁整な5mm大の腫瘤と角膜トポグラフィで角膜中央部に円形の陥凹を認めたため,視力低下は白内障ではなく腫瘤の圧迫による角膜不正乱視が原因と考え,上眼瞼腫瘤摘出を行った。腫瘤は瞼板を貫いており,被膜ごと瞼板を一部含み摘出した。病理診断は類皮嚢腫であった。病変の局在と併せマイボーム腺角質嚢胞と診断した。術後トポグラフィ所見は改善し,不正乱視は消失した。左眼裸眼視力は0.4から1.0へと改善した。
結論
上眼瞼マイボーム腺角質嚢胞は角膜不正乱視を惹起し,視力低下の原因となり得る。
Copyright © 2019, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.