眼科手術の適応―最新情報
4.緑内障 5)エクスプレスシャント
谷戸 正樹
1
1松江赤十字病院眼科(松江市)
キーワード:
エクスプレスシャント
,
緑内障手術
,
手術適応
,
手術合併症
Keyword:
エクスプレスシャント
,
緑内障手術
,
手術適応
,
手術合併症
pp.1099-1103
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000148
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エクスプレスシャントは,ステンレス製のチューブ(エクスプレスⓇ緑内障フィルトレーションデバイス,日本アルコン社)(図1)形状の緑内障治療用医療材料(glaucoma drainagedevice:GDD)を強膜フラップ下で前房に挿入し(図2),トラベクレクトミーと同様に前房水を結膜下に誘導することで眼圧下降を図る濾過手術の一法である(図3)。理論上,あらゆる病型の緑内障で眼圧下降を得ることができる。トラベクレクトミーとエクスプレスの成績を比較した報告では両者の術後眼圧レベルあるいは眼圧コントロール成功率に差がなかったとする報告が多い1)〜3)。術後6 か月までは同程度の眼圧下降であるのに対し,1 年目とそれ以降はエクスプレスよりもトラベクレクトミーが低い眼圧レベルであったとの報告がある4)。一方で,無点眼で眼圧5 mmHg から18 mmHg 未満の眼圧コントロール率がエクスプレスで高率であったとの報告がある5)。術後1年程度の平均眼圧はトラベクレクトミーと同程度と考えて良さそうであるが,より長期の成績,あるいは,より低い眼圧(たとえば,一桁の眼圧)を目指す場合の効果については,いまだエビデンスが十分とはいえない。トラベクロトミーなどの流出路再建術と比較して眼圧下降は強力であり,12 mmHg あるいはそれ以下の眼圧が目標である場合は,流出路再建術ではなく,濾過手術を選択する必要がある。また,薬物継続不能を理由に緑内障手術を考慮する場合も,流出路再建術では目的を達することが困難であるため,濾過手術を選択すべきである。
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