特集 近視の進行をコントロールする
4.オルソケラトロジー
平岡 孝浩
1
1筑波大学医学医療系眼科
キーワード:
オルソケラトロジー
,
近視
,
眼軸長
,
軸外収差
,
調節負荷
,
高次収差
Keyword:
オルソケラトロジー
,
近視
,
眼軸長
,
軸外収差
,
調節負荷
,
高次収差
pp.883-889
発行日 2017年9月5日
Published Date 2017/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000111
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オルソケラトロジー(orthokeratology:OK)による近視進行抑制効果が学術的に確認されたのは比較的新しい。逸話的な報告は存在したものの,それを科学的に確認するための良い術がなかったことが一因と言える。OK 継続中は角膜中央部のフラット化により屈折が正視に近い状態に矯正されているため,本来の屈折を評価することが難しい。数週間レンズ装用を中止すれば角膜形状が戻るため正しい屈折評価が行えるが,経過が良好な症例は治療を中止したがらない。そこで眼軸長測定により軸性近視を評価することが重要となるが,小児に対して接触式の超音波眼軸長測定を正確に行うことはハードルが高かった。しかし,2002年に非接触式の光学式眼軸長測定装置が登場したことによって小児に対する眼軸長測定が容易となり,臨床研究が加速されたという経緯がある。近年では非常に質の高い研究が多数行われ,エビデンスが着実に積み上げられている。これらの結果を受けアジア諸国での流行は著しく,最近ではアメリカやヨーロッパ諸国でも普及が進んでいる。本稿では既報をレビューし,その抑制効果と現在考えられているメカニズム,そして今後の課題について概説する。
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