症例
明らかな爪甲色素線条を伴わない拇指末端悪性黒色腫の1例
大貫 瑠璃
1
,
入澤 亮吉
,
原田 和俊
,
坪井 良治
1東京医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
メラニン細胞
,
爪疾患
,
皮膚疾患-手部
,
皮膚腫瘍
,
母指
,
免疫組織化学
,
皮膚鏡検査
,
皮膚外科
,
黒色腫-肢端黒子型
,
爪甲色素線条
Keyword:
Hand Dermatoses
,
Immunohistochemistry
,
Nail Diseases
,
Melanocytes
,
Thumb
,
Skin Neoplasms
,
Dermoscopy
,
Dermatologic Surgical Procedures
pp.742-745
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016318355
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73歳男。左拇指先端の色素斑を主訴とした。3年前に左拇指の指尖に褐色斑が出現し、徐々に指腹、後爪郭に拡大した。左拇指の指尖、指腹、後爪郭に不整形の褐色斑を認め、爪甲に明らかな色素線条はみられなかった。ダーモスコピーで指腹の色素の分布は皮丘に一致したparallel ridge patternを示した。病理組織学的に指尖部と後爪郭の表皮基底層に異型メラノサイトの増生を認め、表皮基底層を中心にHMB-45染色陽性細胞が増殖していた。一方、爪母の表皮基底層に異型メラノサイトは確認できず、HMB-45染色陽性細胞は認められなかった。以上より、拇指先端から発症し、指尖部から後爪部の方向へ連続性に腫瘍が拡大したと考えられた。Malignant melanoma in situ(pTisN0M0 Stage 0)と診断し、色素斑から5mmのマージンをとり、骨膜上で切除した。切除後、9ヵ月が経過しているが、再発を認めていない。
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