特集 関節痛に対する新しい治療
肩石灰性腱炎に対する体外衝撃波療法
落合 信靖
1
1千葉大学 大学院医学研究院整形外科
キーワード:
肩関節
,
腱障害
,
MRI
,
石灰沈着症
,
疼痛測定
,
ロジスティックモデル
,
ROC曲線
,
高エネルギー衝撃波
,
治療成績
,
視覚アナログ尺度
Keyword:
Calcinosis
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Pain Measurement
,
ROC Curve
,
Shoulder Joint
,
Logistic Models
,
Treatment Outcome
,
High-Energy Shock Waves
,
Tendinopathy
,
Visual Analog Scale
pp.1211-1217
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00767.2016396003
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2012年より我が国で使用可能となった体外衝撃波療法は、種々の腱付着部症に対し有効であり、慢性の肩石灰性腱炎に対しても有効例が報告されている。著者らも2012年から6ヵ月以上の保存療法に抵抗性の慢性肩石灰性腱炎症例に対して体外衝撃波療法を施行している。今回、その方法と治療成績、および治療成績に影響を及ぼす因子について検討した。1)対象は慢性肩石灰性腱炎189例205肩(男性51肩、女性143肩、年齢29~79歳、平均年齢54.9歳)であり、患側は右110肩、左95肩であった。2)衝撃波照射は座位で付属エコー下に石灰を確認し、焦点を石灰の中心に合せて照射した。照射エネルギーは、照射回数の総エネルギーが800mJになるまでとした。また、照射後の経過観察期間は6~62ヵ月(平均13.5ヵ月)、照射回数は1~26回(平均5.2回)とした。3)JOAスコアは照射前73.4点が照射後91.9点、UCLAスコアは18.3点から29.6点、constantスコアは66.8点から90.5点にいずれも有意に改善していた。4)体外衝撃波施行1ヵ月後の120肩中、71例72肩のMRIの斜位冠状断T2強調像での評価では、腱板の石灰消失部がlow intensityが39例、iso intensityが29例、high intensityが3例(4.7%)であった。以上より、体外衝撃波療法は手術前に考慮してよい治療法であると考えられた。
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