論究
トモシンセシスを用いた臼蓋前方被覆計測の有用性 false profile像との比較
大鶴 任彦
1
,
森田 康介
,
堀内 悠平
,
島本 周治
,
森田 裕司
,
加藤 義治
1東京女子医科大学 整形外科学教室
キーワード:
X線像強調
,
回帰分析
,
寛骨臼
,
X線断層撮影
,
変形性股関節症
,
観察者による差
,
結果再現性
Keyword:
Acetabulum
,
Regression Analysis
,
Radiographic Image Enhancement
,
Tomography, X-Ray
,
Reproducibility of Results
,
Osteoarthritis, Hip
,
Observer Variation
pp.111-115
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00767.2016180766
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発育性股関節形成不全の診断では臼蓋側被覆だけでなく前方被覆の評価も重要である。そこで今回、著者らはトモシンセンス(TS)立位矢状断像を用いて臼蓋前方被覆を計測して、その有用性をfalse profile(FP)像と比較検討した。対象は前、初期変形股関節症で隣接関節に障害がない34例(男性7例、女性27例、平均年齢55.8歳)および健康成人ボランティア30例(男性25例、女性5例、平均年齢36.5歳)であった。これらを対象にTS像とFP像を撮影してvertical center anterior margin(VCA)角を測定し、臼蓋前方被覆を評価した。その結果、1)TS-VCA角はFP-VCA角より有意に大きく、TSの方の再現性が高かった。また、TS-VCA角とFP-VCA角は高い正の相関を示し、臼蓋前方被覆の計測ツールとしてTSは極めて有用であると考えられた。その理由として撮影時の体位設定が容易であること、臼蓋縁の変形があっても臼蓋前縁を明瞭に撮影できることが考えられた。以上より、トモシンセシスは立位で撮影が可能なため骨盤傾斜も考慮でき、放射線の実効線量も低く、汎用性の高いことが長所と考えられた。
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