綜説
小児慢性腎臓病に対するトルバプタン治療
清水 正樹
1
1金沢大学 大学院医薬保健学総合研究科生殖発達医学領域小児科
キーワード:
肝硬変
,
心不全
,
二重盲検法
,
治療成績
,
腎嚢胞-常染色体優性多発性
,
ランダム化比較試験
,
Tolvaptan
,
慢性腎臓病
Keyword:
Double-Blind Method
,
Heart Failure
,
Liver Cirrhosis
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Polycystic Kidney, Autosomal Dominant
,
Treatment Outcome
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Tolvaptan
pp.265-271
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00639.2017185493
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トルバプタンの作用機序や心不全、肝硬変、常染色体優性多発性嚢胞腎に対する臨床効果、使用上の注意点について概説した。さらに、小児における使用経験およびネフローゼ症候群や慢性腎臓病に対する新しい利尿薬としての可能性について述べた。トルバプタンはバソプレシンによる水再吸収を阻害することにより過剰な水を排泄する水利尿薬である。電解質の排泄増加を伴わない点が特徴であり、他の利尿薬で効果不十分な心不全や肝硬変における体液貯留に対して用いられる。循環血液量や腎血流量への影響が少ないことから、ネフローゼ症候群や腎不全症例に認められる浮腫にも有効性が期待される。しかし、腎疾患では残存ネフロン数が減少することから、トルバプタンの作用発現に影響しうるさまざまな病態が共存するため、症例によって有効性は異なる可能性がある。使用時には水分管理、Naのモニタリング、肝機能の評価が必須であり、安全性に十分留意する必要がある。
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