慢性腎臓病 CKDキャンペーンをめぐる話題
CKD対策の一環として 多発性嚢胞腎(ADPKD)治療の最近の知見
堀江 重郎
1
1帝京大学 泌尿器科
キーワード:
Cyclic AMP
,
腎嚢胞-多発性
,
Vasopressin Receptors
,
腎嚢胞-常染色体優性多発性
,
Tolvaptan
,
Aquaporin 2
,
PKD1 Protein
,
PKD2 Protein
Keyword:
Cyclic AMP
,
Polycystic Kidney Diseases
,
Receptors, Vasopressin
,
Polycystic Kidney, Autosomal Dominant
,
Aquaporin 2
,
Polycystic Kidney Disease 1 Protein
,
Polycystic Kidney Disease 2 Protein
,
Tolvaptan
pp.112-116
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007246398
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もっとも頻度が多い遺伝難病である多発性嚢胞腎(ADPKD)は、疾患遺伝子PKD1,PKD2が同定されたことで、分子病態の理解が急速に進み、ついに分子標的薬の臨床治験が開始された。PKD1,PKD2いずれかの異常であっても細胞内のCa濃度制御異常を生じ、尿細管の脱分化が起こり嚢胞が形成されると考えられる。さらに嚢胞腎においてはcAMPが増加しており、またcAMPにより転写調節されるaquaporin2およびバソプレシンV2レセプターの発現が増加していることから、バソプレシンV2レセプター阻害薬が分子標的として嚢胞の増大の抑制に効果的である可能性が出てきた。病態の正しい理解と臨床治験の進展により、ADPKDは次世代には治療可能な遺伝子病となりうる。多くの若い医師、研究者のさらなる参画を期待する。
©Nankodo Co., Ltd., 2007