手術症例報告
食道癌術後の食道回腸吻合部縫合不全による難治性頸部消化管皮膚瘻に対し陰圧閉鎖療法が有用であった1例
門馬 浩行
1
,
衣笠 章一
,
仲上 直子
,
堀 宏成
,
岸 真示
,
中村 毅
1兵庫県立加古川医療センター 外科
キーワード:
X線診断
,
回腸
,
食道形成術
,
食道腫瘍
,
皮膚瘻
,
陰圧閉鎖療法
,
吻合部漏出
Keyword:
Esophageal Neoplasms
,
Esophagoplasty
,
Ileum
,
Radiography
,
Cutaneous Fistula
,
Negative-Pressure Wound Therapy
,
Anastomotic Leak
pp.313-317
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/J00620.2017255962
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
症例は55歳男性で、19歳時に胃潰瘍で幽門側胃切除術、Billroth-II法再建を施行した。嚥下困難を主訴に受診し、上部消化管内視鏡検査で食道癌と診断した。胸部中部食道癌の診断で術前化学療法を施行後、胸腔鏡下食道切除術ならびに開腹下にて残胃部分切除術を行った。第9病日、頸部創周囲の発赤で創を一部開放した。唾液の漏出を認め、食道回腸吻合の縫合不全と判断した。経管栄養の開始とともに胸腔ドレーンの排液増量を認め、乳び胸の診断で第13病日に胸腔鏡下胸管結紮術を施行した。全身状態は安定したが、頸部の縫合不全部分からの漏出は継続した。第33病日に瘻孔周囲の組織をトリミングし、縫合閉鎖を行った。第43病日に固形食を開始し、3日で瘻孔は離開した。これ以上の縫合閉鎖は困難で、唾液による瘻孔周囲の皮膚炎が治癒不良の原因となっており持続ドレナージが必要と考えられたため陰圧閉鎖療法(NPWT)を行うこととした。NPWT開始から1週間程度で周囲の皮膚炎が改善し、肉芽形成も良好となった。NPWT開始後34日で瘻孔は閉鎖した。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.