発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012040609
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94歳女。貧血の進行に対し胃カメラを行ったところ、食道裂孔ヘルニアで縦隔内に脱出した胃内に胃癌が指摘された。軽度の貧血、24時間クレアチニンクリアランスの低下、上部消化管造影で滑脱型食道裂孔ヘルニアを認め、脱出胃内の辺縁に凹凸のある隆起性病変を認めた。上部消化管内視鏡で脱出胃内の噴門部壁に表面発赤調を呈す不整形隆起病変を認め、生検で高分化腺癌と診断された。腹部CTで脱出胃内に約5cmの隆起性病変を認めたが壁外浸潤、肝転移や周囲のリンパ節転移は認めず、食道裂孔は径3.5cmに開大し、予防的リンパ節隔清は行わずに腹腔境下噴門側胃切除術を施行した。胃は容易に腹腔内に還納でき迷走神経肝枝は温存できたが、小彎側の食道胃接合部(ECJ)周囲はヘルニアによる線維性肥厚が強く迷走神経後枝は温存できず、癌から2cm肛門側で胃を切離し食道残胃吻合で再建した。術後合併症はなく良好なADLで退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011