連載 傷をきれいに治す~外科的治療成功への第一歩~
第1回
「創傷治療の基本の「き」」
松村 一
1
1東京医科大学形成外科学分野
pp.1052-1057
発行日 2023年9月19日
Published Date 2023/9/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000001513
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手術の傷をきれいに治すためには,第一段階として,良好な一次治癒にて創が閉鎖することがまず必要である。感染や創哆開で二次治癒となり,追加の手術が必要になった場合には,変形や大きな手術痕を残すことになる。このため,傷をきれいに治すためには,創部をトラブルなく,一次治癒させることはその第一段階となる。創部のトラブルとしては,「創部に死腔が生じて内出血が溜まり,それが感染を誘発する場合」,また「創表層の閉鎖が不十分なため,創表面から細菌のコンタミネーションが起こり,創感染に至る場合」などである。また,一次治癒した傷でも,肥厚性瘢痕を生じてしまえば,きれいな治癒とはならない。肥厚性瘢痕を生じにくい切開の向きを選択したり,術後の後療法にて肥厚性瘢痕を防ぐ必要がある。つまり,確実な一次治癒と肥厚性瘢痕の回避が,“傷をきれいに治すための創傷治療の基本”となる。
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