特集 Onco-Cardiologyの新展開
治す 癌化学療法による心血管合併症の予防と治療
志賀 太郎
1
1がん研究会有明病院 総合診療部腫瘍循環器・循環器内科
キーワード:
QT延長症候群
,
高血圧
,
抗腫瘍剤
,
腫瘍
,
心筋疾患
,
心臓血管疾患
,
心不全
,
不整脈
,
Anthracyclines
,
心筋虚血
,
血管新生阻害物質
,
Trastuzumab
,
分子標的治療
Keyword:
Trastuzumab
,
Antineoplastic Agents
,
Arrhythmias, Cardiac
,
Cardiovascular Diseases
,
Hypertension
,
Heart Failure
,
Cardiomyopathies
,
Neoplasms
,
Long QT Syndrome
,
Myocardial Ischemia
,
Anthracyclines
,
Angiogenesis Inhibitors
,
Molecular Targeted Therapy
pp.157-164
発行日 2018年2月9日
Published Date 2018/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018122109
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欧米に遅れをとりながらも、昨今わが国においても腫瘍循環器学(oncocardiology)について、その重要度が認識されるようになり、主要学会などで多く取り上げられるようになってきた。まさに今が黎明期であり、今後さらに本分野が活況を呈していくことに期待がもたれる。ただし、当然ながら現時点でわが国における本分野の早速のエビデンス構築はまだ容易ではない。現時点で議論される内容は、まずは欧米におけるエビデンスの確認、わが国における臨床経験の確認、少数ながらその集約された臨床データの確認等に留まる。しかし、昨今活況を呈し始めた各所における本領域に対する取り組みの勢いから、近い未来にわが国におけるエビデンスの確立がなされることも期待できると考える。まずはこの黎明期に、筆者ら臨床医が確認したいのは、癌診療現場におけるonco-cardiologyの実情、現場で取り組む腫瘍循環器医の経験であろうと考える。Onco-cardiologyでは、1)心不全、心機能障害、不整脈、伝導系障害といった「癌治療関連性心筋障害」、2)血圧異常、虚血性心疾患などの「癌治療関連性血管系障害」、癌患者の死亡理由第2位を占め、癌診療において重要な課題となる3)血栓塞栓症「癌治療関連性凝固線溶系障害」、そして4)「癌患者の非心臓手術への術前・周術期管理」が主に取り組むべき内容となっている。本稿では主に、1)「癌治療関連性心筋障害」、2)「癌治療関連性血管系障害」に対する、腫瘍循環器医の臨床現場における対応について概説する。
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