特集 Onco-Cardiologyの新展開
診る Onco-Cardiology なにを診るのか?循環器内科の立場から 腫瘍循環器外来における癌患者に対する診療
向井 幹夫
1
1大阪府立病院機構大阪国際がんセンター 成人病ドック科
キーワード:
危険因子
,
抗腫瘍剤
,
腫瘍
,
心臓血管疾患
,
放射線障害
,
チーム医療
,
循環器科医
,
腫瘍医
,
心毒性
,
癌サバイバー
Keyword:
Oncologists
,
Cardiologists
,
Cancer Survivors
,
Antineoplastic Agents
,
Cardiovascular Diseases
,
Neoplasms
,
Patient Care Team
,
Radiation Injuries
,
Risk Factors
,
Cardiotoxicity
pp.93-98
発行日 2018年2月9日
Published Date 2018/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018122099
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わが国の高齢化と生活習慣の欧米化により2人に1人が癌に罹患する時代を迎え、循環器外来では癌を合併する症例を診療する機会が増加している。また、癌診療は化学療法、特に分子標的薬の登場により大きく変化しており、ヒト上皮増殖因子受容体(human epidermal growth factor receptor:HER)2阻害薬、そして血管新生阻害薬などの特徴ある分子標的薬が開発され癌患者の予後が改善する一方で、従来の治療では認めなかった心血管系副作用(心血管毒性)が報告されるようになった1)。このように、癌と循環器疾患の両者を診療し心血管毒性に対応する機会が増加しているなか、アメリカでは2000年にテキサス大学MDアンダーソンがんセンターに腫瘍循環器外来(onco-cardiology unit)2)が誕生し、その後わが国でも腫瘍循環器外来が開始された3)。腫瘍循環器学(oncocardiology)は癌と循環器疾患の両者を診療するとともに臨床と基礎の面から幅広くアプローチを行う学際領域の学問である。癌と循環器という両極にある診療をともに行うことで従来は治療が難しかった症例に対して集学的治療が可能となり、癌治療の適正化とともに新しい知見が得られている。ここでは、腫瘍循環器外来における癌患者に対する診療の実際に関して概説する。
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