特集 CCUの現状を識る:循環器医がするべきこと
治す ACS重症ショック例への治療
永野 雅英
1
,
中尾 浩一
1済生会熊本病院 心臓血管センター循環器内科
キーワード:
Dobutamine
,
Dopamine
,
Norepinephrine
,
Phosphodiesterase Inhibitors
,
ショック-心原性
,
心筋梗塞
,
大動脈内バルーンパンピング
,
院内死亡率
,
全身性炎症反応症候群
,
経皮的冠状動脈インターベンション
Keyword:
Dopamine
,
Dobutamine
,
Intra-Aortic Balloon Pumping
,
Myocardial Infarction
,
Phosphodiesterase Inhibitors
,
Norepinephrine
,
Shock, Cardiogenic
,
Hospital Mortality
,
Systemic Inflammatory Response Syndrome
,
Percutaneous Coronary Intervention
pp.1046-1053
発行日 2017年10月9日
Published Date 2017/10/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017402199
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心原性ショック(cardiogenic shock;CS)は急性心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMI)の最も重症な合併症である。心筋壊死による急激な左室収縮不全,また,機械的合併症(左室自由壁破裂・心室中隔穿孔・乳頭筋断裂による急性僧帽弁閉鎖不全症など)により血行動態の破綻をきたす可能性が高い。CSの原因の3/4以上は左室収縮不全によるものである。機械的合併症によるものは数は少ないが,特に壁穿孔によるショックは死亡率が非常に高いとされる。SHOCK trial/regestry以降,経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention;PCI)などによる早期血行再建の急速な普及や至適薬物療法の介入によりCSは減少傾向となっているが(AMI合併率約5~10%),CSの院内死亡率は30~50%と非常に高い。さらに退院後,特に最初の60日間での全死亡率や再入院率が高いとされている(図1)。上記のようにさまざまな治療介入を行ってもCSは予後が非常に悪い。CS合併AMI患者5万6,000人を対象としたCath-PCI registryでは,全例24時間以内にPCIを施行しているにもかかわらず院内死亡率が上昇していると報告されている(図2)。CS合併したAMI患者の予後改善のためには,どのようなアプローチが有効であるのか,循環補助デバイスを併用した早期再灌流療法や至適薬物療法などについて解説する。
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