特集 新規糖尿病薬は心血管イベントの抑制にどうかかわるか
診る 糖尿病におけるAGE-RAGE系の役割
山岸 昌一
1
1久留米大学 医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学
キーワード:
シグナルトランスダクション
,
加齢
,
高血糖症
,
糖尿病-1型
,
糖尿病-2型
,
糖尿病性血管障害
,
Advanced Glycosylation End Products
,
酸化ストレス
,
ノックアウトマウス
,
Nucleotide Aptamers
,
動脈硬化プラーク
,
Receptor for Advanced Glycation End Products
Keyword:
Receptor for Advanced Glycation End Products
,
Aging
,
Diabetes Mellitus, Type 1
,
Diabetic Angiopathies
,
Diabetes Mellitus, Type 2
,
Hyperglycemia
,
Signal Transduction
,
Glycation End Products, Advanced
,
Mice, Knockout
,
Oxidative Stress
,
Aptamers, Nucleotide
,
Plaque, Atherosclerotic
pp.808-812
発行日 2017年8月9日
Published Date 2017/8/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017390467
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2015年の糖尿病アトラス第7版によれば,世界の糖尿病有病者数は4億1,500万人とされ,この病気が原因で年間500万人が死亡していることが明らかされてきている。さらに,糖尿病患者では,大小さまざまなレベルの血管が障害され,透析,中途失明,心筋梗塞などのイベントリスクが上昇する。近年,糖尿病の血管合併症に「高血糖の記憶」という現象がかかわっていることが長期にわたる臨床研究で実証された。慢性的な高血糖や酸化ストレス環境下では,還元糖や果糖による蛋白や脂質,核酸のアミノ基の非酵素的糖化反応が進み,循環血液中や組織で終末糖化産物(advanced glycation end products;AGEs)が促進的に形成,蓄積されていく。AGEsは,コラーゲンなどの生体内蛋白を悪玉架橋させ,高次構造を変化させてその機能を劣化させるだけでなく,細胞表面受容体であるreceptor for AGE(RAGE)によって認識され,広範な組織に酸化ストレスや炎症反応を惹起させて,糖尿病血管合併症,アルツハイマー病,骨粗鬆症,癌の増殖・転移などさまざまな老年疾患の発症・進展にかかわることが知られている。本稿では,糖尿病の大血管合併症におけるAGE-RAGE系の役割について解説する。
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