特集 成人先天性心疾患 正確な患者評価から適切な治療へ
識る 成人先天性心疾患患者の心不全診断に有用なバイオマーカー
齋木 宏文
1
,
先崎 秀明
1埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科
キーワード:
バイオマーカー
,
C-Reactive Protein
,
Atrial Natriuretic Factor
,
Norepinephrine
,
心臓疾患-先天性
,
心不全
,
Brain Natriuretic Peptide
,
Troponin T
,
Collagen Type III
,
Growth Differentiation Factors
Keyword:
C-Reactive Protein
,
Heart Defects, Congenital
,
Heart Failure
,
Atrial Natriuretic Factor
,
Norepinephrine
,
Biomarkers
,
Natriuretic Peptide, Brain
,
Troponin T
,
Collagen Type III
,
Growth Differentiation Factors
pp.513-519
発行日 2017年5月9日
Published Date 2017/5/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017220953
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先天性心疾患児が成人する過程は,心内構造を段階的に内科的・外科的に正常血行動態に近づけていく過程であり,この間,年単位の低酸素・容量負荷・圧負荷に曝露され,心血管リモデリングと心不全の病態に直面しながら生存・成長する。これらを生き抜いた成人期の先天性心疾患では,その多くが2心室循環あるいはFontan循環をすでに確立し,血液の流れは非常に単純化されている一方,臨床的に心不全が診断される際には病態が極めて進行している状況に陥っていることも少なくない。従って,定期健診による早期病態評価が心不全予防の観点から重要であり,バイオマーカーの果たす役割は小さくない。バイオマーカーは"身体の状態を客観的に測定し評価するための指標"と定義され,アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health;NIH)や世界保健機関(World Health Organization;WHO)のステートメントでは患者の外部から測定可能な正確で再現性の高い客観的指標,と要約されている。広義にとらえると身体所見や心エコー・核医学検査などのイメージングも含まれるが,本稿ではより客観性の高い,血液検査により数値として得られるバイオマーカーについて概説し,その適応・解釈における注意点を概説する。
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