特集 植込みデバイスによる不整脈・心不全の診断・治療はどう変貌したか-現状と将来の展望-
識る 形成外科の視点からみたデバイスポケット形成術 豊富な局所血流が良好な創傷治癒を促進する
森島 容子
1
,
森島 逸郎
1大垣市民病院 形成外科
キーワード:
ドレナージ
,
局所血流
,
筋膜
,
創傷治癒
,
電気的除細動
,
植込み型除細動器
,
心臓再同期療法装置
,
形成外科医
Keyword:
Drainage
,
Fascia
,
Electric Countershock
,
Regional Blood Flow
,
Wound Healing
,
Defibrillators, Implantable
,
Cardiac Resynchronization Therapy Devices
pp.180-185
発行日 2017年2月9日
Published Date 2017/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017130944
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近年,植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD)や両 室ペーシング機能付植込み型除細動器(cardiac resynchronization therapy defibrillator;CRT-D)などhigh voltageデバイス手術やデバイス交換術件数の 増加に伴い,デバイス植込み後の感染症例が増加傾向にある1)。長い術時間やカ テ室での植込みにより細菌曝露が大きくなることなどが感染の要因となること は,循環器内科医側で十分認識されている。一方,形成外科医は,これに加えて, 術後に良好な創傷治癒を得られるためにどうすべきかという視点を重視する。 ICD/CRT-Dでは,ペースメーカに比べてデバイス形状が大きくなることにより, ポケット周囲の組織への機械的ストレスがより増加する。また,患者側も,糖尿 病,高齢者が増加し,重症心不全を合併するなど,いわゆるフレイルな状態であ ることがまれではない。こうした背景から創傷治癒過程が遷延し,感染例増加に つながっていることは想像に難くない。筆者らの施設では,形成外科医と循環器 内科医が連携して,デバイス手術に取り組んできた。当初,手術についての形成 外科医の常識は,必ずしも循環器内科医の常識ではなく,両者の意見の統一まで には一定の時間を要した。本稿では,筆者らのこうした経験に基づき,具体的な ポイントに絞って,ポケット形成における形成外科医の視点を述べたい。
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