特集 凍結肩の最新の知見と治療法
凍結肩に対する超音波を用いたブロック療法
後藤 英之
1
1名古屋市立大学 大学院医学研究科整形外科
キーワード:
肩関節
,
関節周囲炎
,
神経ブロック
,
関節内注射
,
インターベンショナル超音波診断
Keyword:
Injections, Intra-Articular
,
Periarthritis
,
Nerve Block
,
Shoulder Joint
,
Ultrasonography, Interventional
pp.1068-1076
発行日 2017年10月19日
Published Date 2017/10/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2018015535
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
日常診療でしばしば遭遇する肩痛の疾患名とし て「五十肩」という言葉がある。しかしこれは病態 を表したものではなく,肩の疼痛と関節拘縮を表 す症候名である。凍結肩もこれとほぼ同義であり, 明らかな原因を証明しにくい重度の肩甲上腕関節 の拘縮を表す症候名として表現されている。その 病態はさまざまで,①腱板や骨と関節包の癒着や 関節包の肥厚,②腱板滑液包面と肩峰下滑液包の 癒着,③上腕二頭筋長頭腱の滑走障害,④肩甲胸 郭関節の機能低下などが複雑に関与した状態と なっている。 一般には凍結肩の治療は,薬物療法によって疼 痛を緩和しながら運動療法によって関節拘縮の改 善を図るが,重度の凍結肩ではそれだけでは十分 な効果が得られにくい。ブロック療法は局所の疼 痛を緩和し,関節拘縮を改善するうえで有効な治 療法である。筆者は凍結肩に対して,その疼痛の 発現部位,可動域(range of motion;ROM)制限 の起因部位とされる部位へ確実で安全な注射を行 うために超音波診断装置を用いた超音波ガイド下 注射を行っている。超音波ガイド下注射によって, 注射の部位を把握することで,正確な注射療法が 可能となる。特に凍結肩に対する注射療法では薬 液による組織の癒着の剥離効果,組織の伸張性効 果,神経ブロック効果などが期待できる。また, 正確な注射によって注射法の効果判定を適格に判 断でき,治療戦略を立てやすくなる。 以下に,現在筆者が行っているブロック療法に ついて詳述する。
Copyright© 2017 MEDICAL VIEW CO., LTD. All rights reserved.