糖尿病患者の血糖， 血圧， 脂質管理はどうする？

糖尿病の心臓血管病合併症の発症や進展の抑制には，血糖・血圧・脂質の包括的管理が有効である。Steno-2，J-DOIT 3研究は，北欧と日本の2 型糖尿病患者で包括的管理の有効性を示した重要な試験である。近年SGLT2阻害薬，GLP-1アナログ製剤等の新しいタイプの薬剤が上市され，選択肢が増えたこと，また薬剤クラスによる心臓血管病アウトカムに差があることが示され，血糖管理方針が大きく変わりつつある。一方，糖尿病患者では，若年か高齢か，肥満かやせかなど，多様性があり，予後の違いも注目されるようになり，糖尿病治療個別化の重要性が同時に高まっている。したがって，今日の2型糖尿病治療は，治療ガイドラインを参考にしつつ個々の病態を鑑みて適切に包括的管理を行うことが望まれる時代となったといえる。日本糖尿病学会は，定期的に「糖尿病診療ガイドライン」を改訂・発表しており2019年に3年ぶりに改訂した。また主に非専門医向けに「糖尿病治療ガイド」を発行している。本稿では，日本糖尿病学会のガイドライン，糖尿病治療ガイドを基に，2型糖尿病患者における血糖，血圧，脂質管理の標準的な治療戦略を考えてみたい。