特集 臨床MRIを基礎から知る−さまざまな角度からMRIの魅力に迫る−
[骨関節領域]
四肢(肩関節,股関節を含む)
塚原 嘉典
1
,
吉岡 大
2
1信州大学医学部 画像医学教室
2カリフォルニア大学アーバイン校医学部 放射線科
キーワード:
ポジショニング(positioning)
,
field of view
,
magic angle effect
Keyword:
ポジショニング(positioning)
,
field of view
,
magic angle effect
pp.152-158
発行日 2023年4月30日
Published Date 2023/4/30
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000001274
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▶ 四肢関節のMRIは,冠状断,矢状断,横断の3方向の撮像が基本である。各断面像につき,2Dの①T1強調像またはプロトン密度強調像と,②脂肪抑制プロトン密度強調像,脂肪抑制T2強調像,またはSTIR像のうち,①,②から1つずつシーケンスを選び,合計6シーケンスのプロトコルとする。①は解剖学的な構造を把握するのに用い,②は病変の検出に役立つ。
▶ 疾患の種類によって撮像シーケンスを選ぶ必要があり,例えば,脂肪であることをみたければT1強調像を選び,軽微な浮腫をみたければSTIR像を選ぶ。靱帯や腱,関節軟骨,半月板の損傷は脂肪抑制の有無でのプロトン密度強調像で十分なことが多い。また,3Tではプロトン密度強調像とT2強調像の中間のTE(intermediate TE)を用いるのもよい。TRは十分に長くなければ(>3,000msec),関節液が十分に高信号とはならず,高い信号強度比も得られないので注意が必要である。関節ごとに,特異な解剖や病態があるので,前述の基本シーケンスに加えて,各関節,病態に合わせたシーケンス(例えば3DシーケンスやT2*強調像)を適宜追加する。
▶ シーケンスを増やして撮像すると病変の見落としは減ると思われるが,その一方で撮像時間が長くなり,患者の負担も増加する。従って,臨床所見や単純X線所見から事前に病態を把握し,適切なプロトコルを計画することが重要である。
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